ロービジョンケアとは
これはロービジョンをケアするということになります。弱視には、医学的弱視と社会的弱視があるとされていますが、社会的弱視にあたるのがロービジョンになります。
ロービジョンとは、網膜や視神経、あるいは脳などに先天的な異常や疾患(緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性 等)によって視覚障害などがみられ、現時点では治療による視覚の改善が見込めない状態のことをいいます。なお、ロービジョンには目が全く見えないケースというのは含まれず、視覚機能(視力低下、視野障害、色覚異常 等)が低下されている場合をいいます。具体的には、成長や発達に支障をきたしていることで読み書きが困難、目が見えにくいことで歩く等の移動が難しく、日常生活等に支障をきたしている状態をいいます。
そもそも人間は、情報の8割近くを視覚で得ているといわれています。したがって視覚障害があるとなれば、生活の質(QOL)が大幅にダウンすることにつながります。これを可能な限り防いでいき、さらに向上させていくというのがロービジョンケアです。
視覚リハビリテーションについて
ロービジョンケアは、医療的なサポートとしての視覚リハビリテーションがあるほか、行政や社会的支援(教育支援、就業支援、障害保障 等)も受けることも可能です。眼科である当院は医療面でのロービジョンケアとして、視覚リハビリテーションを行っています。
具体的には、視力低下によるロービジョンケアとしては、拡大鏡(弱視レンズ 等)を使用して文字等を見やすくする、拡大鏡を使うにあたって、眼鏡やコンタクトレンズでしっかり矯正していく、さらに網膜の中心が障害を受けているのであれば、中心のやや外側の網膜で物を見る訓練などをしていきます。
また視野異常に関するロービジョンケアでは、視力が低下していないのであれば縮小レンズを用います(物(文字)は小さく見える)。また眼鏡にプリズムレンズを取り付けて視野を拡大していく補法もあります。さらに眼を機能的に動かすことで、視野狭窄があっても視野を広げていくスキャニングといった方法もあります。
このほか、羞明(まぶしさ)を訴えているのであれば、遮光眼鏡をはじめ、サンバイザーや帽子を着用するなどしていきます。
行動力をさらにつけるための視覚リハビリとしては、白杖を使っての歩行訓練、盲導犬による移動というのがあります。視覚補助具については、光の反射を抑制し、コントラストを上げられるなどのタイポスコープ、また視覚障害が進んでいるのであれば、完全に見えなくなる前に点字を習っていくといったことも行っていきます。